放牧地

映画の感想とか読んだ本の感想とか。たまにぼやき。

ゲ謎見てきた感想(後半ネタバレあり)

 完全に見るタイミング間違った。

 なんでジャパンカップの前日に観てしまったのか。空白の時間に脳内に過るリバティアイランド、イクイノックス、タイトルホルダー。ただでさえ情緒不安定なときに見るもんじゃない。

 まず、私鬼太郎のことあんまり知らない。因習村的な内容であることとビジュアルに釣られて見に行った。私はガチで『目玉の親父は鬼太郎のガチ父である』程度のことしか知らない。コナン=新一くらいの知識でコナン映画見に行くようなもん。

 今回の映画はアニメ6期の前日譚にあたるらしい。鬼太郎って日曜の朝9時とかにやってなかった?私ワンピ見るか鬼太郎見るかでいつもワンピ見てた記憶があるよ。そんな枠のアニメの前日譚をPG12でなぜ作ったんだい。ちなみにゴジラ-1.0は全年齢対象だよ。なんかおかしいだろ。あっちはあっちでトラウマになったわ。

 作中の舞台は戦後、高度経済成長期の日本。数週間前にゴジラを見たばっかりの私「戦後の日本、波瀾万丈すぎだろ」などと思う。戦後日本を牛耳っていたらしい、龍賀一族の当主がお亡くなりになったということで、主人公の1人の水木がその当主の葬式に派遣される。水木が勤める血液銀行の大口顧客が時期当主候補なので、なんかあの、コネコネしたかったんだよね。よかった、現代人で。私嫌だよ、取引先の葬式行ってお悔やみ申し上げるの。けど、水木は戦争帰りの人間で、豊かに暮らすこと、出世することを目標にしているから、会社の利益になることはどんどんやっちゃうタイプ。社長に評価されるために龍賀一族のところに行って、犬神家の一族みたいなことやって、妙な男(目玉親父)に会って、因習に縛られた村でクソオブクソな人間をボコボコにする話です。

 まず率直に、よかった救いのある話で、って思った。聞いてた話が胸糞の極みみたいな感じだったので本当に救いも一切なく終わるのかと思った。ただ、それは私がどちらかというと目玉の親父に焦点を当てて見ていたからかもしれない。水木と紗代ちゃん(ヒロイン)に感情移入をしていたらもっと複雑な感情を抱いていたかと思う。

 きちんと「悪役」がいて、それがちゃんと悲惨な目に合う。因習村が最後どうなったかも、冒頭にきちんと描かれる。その2点があるだけで、因習村目的で見に行った私としては「ちゃんと報われてよかった」っていう感想になりました。もっとキャラクターにフォーカスしたら「いや全然よくなー---い!!」ってなるのかもしれないね。

 ただ、どのキャラクターにおいても因果応報というか、なんで悲惨な目に合わなきゃいけないのか、みたいな部分があってそれが美しいんですけど、ひとりいるのよ。原因が全くないし救いもない人が。「こ、こ、この人が一番悲惨やろがー--い!!!」ってなっていたので、あそこの描写がより深かったら暴れてたね。

 それぞれの死に方はPG12も納得のグロ。殺し方の殺意がすっごい。突き刺し系が多いので描写自体もきついけど、個人的にはその恨みつらみの感情の方が「ぐろぉ…」ってなりました。それはそれとしてパイプ突き刺し目玉ぽーんは一線超えてる。

 あと、紗代ちゃんの声優、種崎敦美さんて最後エンドロール見るまで気づかなかった。声優ってすごい。

以下ネタバレ
















 老害がひどいです。

 全部お前が悪いんだろうがお前お前おまえー-----!!!!!老害がこの国をダメにしています!!!!この映画ではまさにそれです!!!!

 あーよかった、胸糞って聞いてたからこいつがあっさり死んじゃうとか、生き延びちゃうとか、そういう感じかと思った。よかったーずっとなんか暗いとこ♪のちいかわエンドで。やっぱ「自分たちは頑張ってきた」って思いすぎるのって良くないよ。ある程度までいったら次はそれを後の世代にどう繋ぐか思考を変えないと。一生第一線は無理無理。

 この執着というか、最前線に居座ろうとする気概が常軌を逸してんのよ。紗代ちゃんと子ども作ろうとしてるのは倫理観がPG12超えていると思いますよ。(描写がなかったとはいえ)

 高度経済成長期は「72時間働けますか?」という商品キャッチコピーが幅を利かせていた時代。人がキャパシティー以上に働くことを是としていた時代背景から、いわゆる麻薬のように人を壊しながら動かせる薬が求められてた。その薬剤を作って繁栄していたのが諸悪の根源である龍賀一族。薬剤の材料は幽霊族の血でここでは目玉おやじの奥さん。生きたままずっと血を吸われ続けている。村の人はよそ者を引き入れては、幽霊族の血を培養?させる入れ物として生きたままゾンビにして、無限に製剤を作る素材にしていた。

 闇が過ぎる。

 人の心とかないんか。

 どうしてそんなひどいことができるんですか?

 私全然知らなかったんだけど、幽霊族って幽霊じゃなくて、そういう人間の種族らしい。つまり普通に生きている人と変わらない。物理攻撃はちゃんときくし、痛覚もある。本当に普通の人と変わらないのに、生かされながらずっと血液を吸わされる。

 あっぶね、エンドロールがなかったら「こんな胸糞悪い話をただ見せやがって!!!!!」っていうゴミみたいな感想で全部上書きされるところだったあっぶね。

 もうね、私は本当に最後、奥さんとゲゲ郎が一瞬でも穏やかな時を過ごしてくれたことが嬉しいよ。

 本来の水木は出世や名誉が大事で、紗代ちゃんに親切にしたのも「跡継ぎの娘だから」以上の理由を一切感じなかったんだけど、それが作中で変化して、最後あのクソ老害に「地位も名誉もくれてやろう」的なことを言われたときに「んなもんくそったれだ」って迷いなく打ち返したの本当かっこよかったし、成長したんだなって思った。そういう風に変われたから記憶をなくしたあとでも鬼太郎を殺せなかったんだろうなあ。

 紗代ちゃんと水木は、幸せな二次創作がこの世にたくさん溢れますように☆って気持ちでいっぱいなんだけど、でも紗代ちゃんは人を手にかけた時点で詰んでるんだよなあ。被害者でしかないので可哀想なんだけど、紗代ちゃんが手にかけなければこの村は変わらなかったし、でも人を殺してしまった時点で水木とは一緒にいけなかったと思う。ずっとこの因習に捉われているんだろうなって。頼むから来世は銀座でクリームソーダ飲んでてくれ。

 もう私ダンチであのクソクソゴミ老害にどん引いたのが

 時ちゃんだよ!!!

 ひど、ひ、ひどくない!??!!????

 時ちゃんに至っては悪いことなんにもしてないんだよ!!!!!ゲゲ郎が「やっぱり君が最後まで残ってしまったか」的なことを言ったときほんと、ほんと辛くて!!!

 そりゃそうだろ!!!!!!

 あの成仏?シーンがなかったらここでも詰んでたね。私の情緒が。

 この陰鬱としたずっと暗い感じ、とても良かった。強いていうなら、これ小説でねっちょりした文章で読んだらしばらく立ち直れないくらいのダメージを背負えたと思う。映像化して良かったと思うし、一方では映像化じゃなく文章で読みたかったなっていう気持ちもある。

 私たちは老害にならないようにしましょう。

 以上です。